混沌と秩序、理性と感性、論理と直感、川上と川下、クラシックとコンテンポラリー、デコラティブとシンプル、最小と最大、足し算と引き算・・・、一見対立軸にあると思われる、これらを同時に捉えながらアイデンティティと照らし合わせ、適したバランスを見出し、ブランドのポジションを明確にしていく。
“バランスよく”というのは、決して足して2で割るとか、最大公約数とか、均等化を図るというものではない。中心に据えればバランスがよいというものでもない。要領が良いのとも違う。バランスの良いブランドは過去に沢山の失敗もしている。
バランスというものは、挑戦し、自ら考え行動するという行為を繰り返すことで養われていく。挑戦し続けるので、その分失敗も多い。しかし、挑戦するということは、新しいフィールドに飛び込むことであり、視点を変える機会に恵まれるため、視野も広がり、その分、固定観念に捉われ難くなり気づきも多くなる。だから、本質を見極めることができ、やがて”バランスよく”なるのかと。
“手考足思”という河原井寛二郎さんの言葉のように、手足を使って思い考える、つまり、現場に足を運んで、手足を使いながら考え行動することも、バランス感覚を高めていくために必要。そうしているうちに、主体を離れて、モノゴトを客観的に、俯瞰的に観えるようになってくるから、バランス感覚も高まっていくのでしょうね。
写真は、ロダンの“歩く人” 大原美術館にて