自ら発する言葉が人の心に響く、人の心を動かす、人の腹に落ちる場合とそうでない場合がある。自分の中で本質を捉えきれていないことを言葉にした時には、当たり前だけれども、相手に届き難い。
内田樹の“街場の文体論“に「届く言葉には発信者の届かせたいという切迫がある。できるだけ多くの人にできるだけ正確に自分が言いたいことを伝えたい。その必死さが言葉を駆動する。思いがけない射程まで言葉を届かせる。」とあるが、まさしくその通りである。本質を捉え、確信し、納得し、共鳴し、そのことを自らの強い意志で伝えたいという時に人は必死になり、真剣になり、その時のその言動が人の懐深くに飛び込んでいくのではないか。
所作とは、振る舞いや身のこなしに加えて、仏語で身・口・意の三業が発動することと辞書に書かれている。所作は、心の奥深くに染み込んでいる生き方を表現するものであり、体の言葉である。この所作も大きく人に作用する。
「目的を見つけよ。手段は後からついてくる」「強さとは身体能力ではなく、不屈の精神から生まれるものである。」など数多くの名言と功績を残し、世界中の人々に言葉を届けてきたガンジーは、所作でも人々を魅了したに違いない。
インドでの旅の途中
タジ・マハールよりデリーに向かう車中にて